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常識のウソ

豊富な知識こそが思考力の源


大学入試改革について以前記事を書きました。近年、暗記偏重の入試をやめて、思考力を
問う、より時代に即した入試にしようとする動きが加速しています。世論もそれに賛同して、

「学校で暗記したことなんて社会に出たら役に立たない。」
「数学なんて使わない。四則演算さえできれば世の中生きていける」
「いまどきGoogle を使えば何でも調べられる」
というような意見も見られます。(こうした意見はずっと前からあります)

しかし、私はこうした風潮に違和感を覚えます。確かに思考力は社会で生きるうえで大事ですが、知識なしでは我々は思考できません。我々の思考は突然頭の中でひらめくものではなく、それまでに経験した一つ一つの出来事が、結びつくことで生まれます。点と点が結びついて線を作るイメージです。

目次

知識は使いたいときに出てこなければ意味がない

今やインターネットを使えばあらゆる情報にめぐりあえます。しかし我々は、その情報をすべて閲覧することはできません。検索エンジンで下位にあるページはもちろん見る機会はほとんどないのですが、検索上位にあるような質の高いページでもすべてを見る時間はありません。

アップルの創業者スティーブ・ジョブズ氏は、母校で行った演説で、大学時代に習ったカリグラフィの授業がアップル製品をデザインするうえで大きく役に立ったと述べています。

もしも、ジョブズ氏が、カリグラフィを習わなかったとして、同じ発想に辿り着けたでしょうか?答えはおそらくNoです。世の中にデザインの工夫は無限にありますが正解はありません。検索してヒットしたサイトの数だけ答えがあるということもあります。

そのようなときに役立つのが自分の中にある深い知識です。知識は必要な時にふっと引き出せなければ意味がありません。検索エンジンで「カリグラフィ」と入れればたくさんのページが得られますが、その検索ワードを思いつくまでが大変なのです。ネットで得られる浅い情報でなく、本質を理解した深い知識だからこそなしえる技なのです。

中学や高校で学ぶ歴史も同様です。ただ覚えるだけならインターネットを使えば解決する話です。歴史を学ぶのは、歴史上の教訓を必要なときにふっと思いつくようにするためです。
歴史を学んだことのない人でも、「第二次世界大戦」とネットで検索すれば、一定の情報や教訓を得られるでしょう。しかし彼らが、歴史に学ぼうと思い立って実際に検索するかといえばそんなことはないでしょう。
知識は意識的に使うのではなく、必要な時に無意識に使うものです。

アインシュタインは「学校で習ったことをすべて忘れて、なお残っているもの、それが教育だ」と述べています。
この残っているものは、忘却とは無縁の、潜在意識にまで影響を与える深い知識だと私は考えます。

体系化された情報こそ貴重である

Pisa(国際的な学習到達度調査)のうちの読解力のテストで、12歳から15歳の生徒は、二つの情報が示す矛盾点を示す問題に非常に弱いことが明らかになりました。

インターネットで情報を集めるとき、すべてのサイトに同じことが書かれているわけではありまえん。ネット上の情報はとても整理されているとは言えません。我々は異なる情報、一見矛盾して見える情報を総合的に組み合わせたうえで自分の解釈を組み立てなければいけません。

しかし自分が全く知識をもっていない分野に関して、いきなり情報を取捨選択するのは至難の業でしょう。
たとえば、積分を全く知らない人がWikipediaで積分のページを見ても抽象的な話ばかりで、わかりにくいでしょう。決して間違ったことがかかれていいませんがネットの情報は全く体系化されていないからです。

積分を学ぼうとするなら体系的な本を買って実際に手を動かしながら、学ぶのが一番でしょう。

 

 

いかがでしょうか。ネットで調べればなんでもわかるし、豊富な知識なんて無意味だ、という風潮が少しでも変わればいいと思っていま

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