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名義を貸すのは最も恐ろしい行為
世の中に詐欺の手口はあまたありますが、騙すつもりのない善良な市民にとって、最も厄介なものの一つが、名義貸し詐欺と呼ばれるものです。何が厄介というと自分は特に何もしなくても、刑事責任が問われることがある点です。
今回の相談者をKとします。彼は現在大学二年生です。彼は去年、車の免許をとるためにお金が必要にもかかわらず、金が足りず苦しい生活をしていました。そんなとき、Kはサークルの先輩から割のいいバイトを紹介されました。先輩は月に20万円も稼いだらしく、Kは内容は知らされないまま先輩を信用してバイトを始めることにしました。
Kはとある会社に行って合言葉を伝えると、怖そうな男性が出てきて、消費者金融に連れて行かれ、Kの名義でお金を20万円借りるように指示されました。当然返済は会社側が負担し、謝礼として2万円をすぐ渡すと言われましたが、Kは話がうますぎると思い、わざわざ謝礼をだして、お金を借りる目的を尋ねました。
新興の消費者金融は借入の実績をつくるために、なるべく多くの人にお金を借りてほしいから、一人金を借りるひとを紹介すると紹介料がもらえる仕組みだと、男性は教えてくれました。Kはその言葉を信用し軽い気持ちで、自分名義で借金をし、謝礼を受け取りました。
しかし、それから2か月後、消費者金融から返済の催促が来たのです。嫌な予感がしたKは例の会社に電話するもつながらず、警察も取り合ってくれなかったそうです。Kにバイトを紹介した先輩も騙された側でした。
冷静に考えればわかるのですが、自分の名義で金を借りたら、返済の責任は当然自分が取ります。目先のお金に目がくらむと人間は冷静な判断力を失いがちです。この手の詐欺は社会に出る前の大学生や主婦が主なターゲットになっています。バリバリのサラリーマンなら契約にはシビアなはずなので、世間知らずだと思われる人から狙われていきます。
警察庁のHPに、名義貸しをした者は6月以下の懲役又は100万円以下の罰金になると明記があります。して何より、自分で返す気がないでお金を借りるのは消費者金融を欺いたことになるので、詐欺にも該当します。よって、警察に相談でも、下手したら逆に自分が捕まってしまう可能性も出てきます。
名義貸し詐欺が止まらない理由
- 騙された側がうったえにくい。
名義を貸した人も罪を犯しているので泣き寝入りするケースも多いようです。本気で戦うのなら民事裁判を起こすしかありませんが膨大な手間と時間がかかります。ここで「被害者」という表現を使わなかったのは、被害者は上の例では消費者金融だからです。
- 発覚が遅れる
大抵は消費者金融のカードはその場で、回収されてしまうので、会員情報がわからず、電話がかかってきて初めて詐欺に気づく、というのがよくあるパターンです。
謝礼を銀行振り込みにして、分割して払うことで、「少なくとも謝礼が払われているうちは大丈夫」、と相手に思わせるケースもあります。
- カモが見つかりやすい
大学生や主婦をターゲットに美味しい話をばらまくと、口コミで周りの学生や主婦たちに広がってゆくため、騙す側にとってはカモがどんどんやってくる状態です。
- 人々が名義貸しを甘く見ている
名義を貸してもそこまで重い罪にはならないと考えている人が多すぎます。例え、親族間でも名義は貸すのは違法です。もしKがいきなり「オレオレ詐欺の受け子をやれ」と言われたら、さすがに断っていたでしょう。オレオレ詐欺も名義貸しも同様に詐欺であるにもかかわらず。
名義貸しの詐欺は消費者金融だけじゃない
消費者金融以外にも、銀行口座やクレジットカード、携帯電話の名義を貸して騙されてしまったという相談もちらちら耳にします。銀行口座、携帯電話はわざわざ他人の名義を使う場合、犯罪に使われる可能性があります。名義を貸した人が関係者として、余計な疑いをかけられて、人生に汚点となることも考えられます。
これなら消費者金融に名義を貸して、借金を背負って泣き寝入りするほうがまだましかもしれません。
本来ならこの詐欺の見抜き方などと書きたいところですが、そんなものはありせん。
メイギ カシチャダメ ゼッタイ!