レターパックで絶対送ってはいけないもの
本や衣服などの薄いものを郵送で送る際、重宝するのがレターパックライトです。厚さ3cm以内のものを全国一律360円で、ポストに投函するだけで送れます。専用の封筒はローソンなどのコンビニなどで買えるほか、金券ショップに行けば350円くらいで購入できます。
使っている人ならわかると思いますが、専用の封筒の裏面に大きく
「レターパックで現金送れ、は全て詐欺です」
と書かれています。ここまではっきりと書くのは当然現金を送らせる犯罪が起きているからです。
特に相談が多いのが振り込め詐欺の代わりにレターパックを利用するケースです。振り込め詐欺は振り込むほうも引き出すほうも銀行を利用します。ですが、振り込め詐欺への警戒心も年々強くなっているのは事実です。お年寄りが電話を掛けながらATMでおろおろすれば、銀行員が不審に思って声をかける可能性が高いです。
現金を引き出す「出し子」も、銀行でお金を引き出している途中に現行犯逮捕された事例もあります。
直接お金を受け取る「受け子」も現場で逮捕される危険がある。そこで消去法的に郵送が送金手段として選ばれるわけです。レターパックは配達記録も残らず、受取印もいらず、郵便受けに入れられるため、人目を嫌う詐欺師にはうってつけの手段といえます。
目次
マンションの空室を使った詐欺の手口
今回の詐欺被害の相談者をCさんとしましょう。Cさんはtwitterで人気の野球のチケットを売っている人を見つけました。値段交渉をした結果譲ってもらえることになり、レターパックで現金を本に挟んで送るように指示されました。Cさんはレターパックの封筒の注意書きを見て不審に思いましたが、野球の試合の日が近かったので仕方なく、レターパックで指定された金額をいらない本に挟んで送りました。相手には郵送で試合の2日前にはチケットが届くように手配するといわれました。
ところが試合の前日になってもチケットは届きません。Twitterのダイレクトメールで問い合わせても反応がありません。結局試合までにチケットは届かずにCさんはお金を失っただけでした。
送付先のマンションはあまりCさんの家から遠くなかったので、実際に行って調べてみると、なんとその部屋は空室だったことが判明しました。
このケースでは、何者かが(おそらくはチケットの売り手)が空室の郵便受けからレターパックの封筒を取り出したと思われます。
マンションの空室が使われる以外にも、架空名義の私書箱や、ウィークリーマンションが詐欺金の送付先として使われるケースがあります。いずれの場合も犯人の正確な住所をつかむのは容易ではないので注意が必要です。
Cさんのケースには一般人が騙されやすい詐欺の特徴が多く含まれています
- 試合の日程が近いため、被害者に考える時間が十分にない
- 身分確認がいい加減なtwitterを使っている(今のところ電話番号の登録さえ不要)
- 現金の郵送自体違法であり、被害者も法に触れているため他人に相談しにくい
- 被害額がそこまで大きくない
この種類の詐欺で最も被害に遭いやすいのが大学生や高校生です。ちょうど彼らはSNSに慣れ親しんでおり、社会経験があまりないためカモにされてしまうのです。
詐欺師は大学生や高校生が親に相談して事件が発覚することを恐れるので、どちらかといえば女の子より男の子、特に一人暮らしの男子大学生が狙われます。
合鍵を売る闇ビジネス
某有名週刊誌で、不動産会社がマンションの空室の合鍵を売る闇ビジネスが紹介されていました。高値で合鍵を買った人は、そこで民泊を営んだり、現金の送付先として使ったりします。(当然ながら管理会社の管理が甘い物件に限られますが)
詐欺師はあらゆる手段で足がつかないように工夫をしています。住所がわかれば警察がどうにかしてくれるだろうと油断するのは危険です。現金を現金書留以外で絶対郵送しないことが大切です。万が一被害に遭った場合は警察に相談するしかありません。(送ったら郵便法に違反しますが、刑事罰はありませんのでご安心を)