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4番打者最強論は嘘だった!? 日本野球の常識が変わる


目次

4番打者最強説の嘘

先日プロ野球で大きな議論を呼んだ話題がありました。インフルエンザでエースの岸投手が離脱した楽天が、いきなり開幕3連勝。交流戦が終わった今でもパリーグで首位を守っています。大きな波紋を呼んだのが楽天の打順です。

ペゲーロ、ウィーラー、アマダーの外国人トリオをなんとクリーンナップではなく2、3、4番に並べています。野球を知っている人であればこれがどれだけ、セオリーに反しているかすぐに理解できると思います。

日本では一般的に、1番に出塁率が高く足が速いバッター、2番には小技ができるつなぎ役、3番に打率の高いオールラウンダー、4番にホームランが打てる強打者を置くのが主流です。

しかし楽天の2番打者、ペゲーロは小技ができる選手ではありません。典型的な2番打者のイメージの強い井端や宮本と全くタイプが違います。むしろここまでで3本のホームランを放っている長距離打者といえます。
この打順の根拠となったのは、近年メジャーリーグで流行している、「2番打者最強論」です。昨年(2016年)のアリーグ、ナリーグのMVPはともに2番打者でした。昨年の成績でみると、30チーム中13チームの2番打者が20本塁打以上打っています。

日本では一般的に、ホームランが打てる最強打者は4番に置くのがセオリーになっています。プロ野球はもちろん、高校野球やリトルリーグでも大抵の場合ホームランバッター、もしくは最強打者は4番というのが今の主流です。

しかしアメリカでは対照的に、最強打者を3番に置く、というのが昔からあるセオリーです。野球の一イニングは3アウトで交代のため、初回から確実に強打者に回そうというのが主な根拠となっています。

まとめると日本では4番に最強打者、アメリカでは3番に最強打者が通説。ただし近年アメリカでは、2番に最強打者をおくべきという新しい説も生まれています。

セイバーメトリクスの存在

2番打者最強説を裏付ける根拠となったのがセイバーメトリクスです。セイバーメトリクスとは野球のデータを統計学的に分析することで選手の評価や戦略をより客観的に、正確に測ろうとする手法のことです。このセイバーメトリクスにより数々の野球の常識が覆されました。

日本でも近年多くの野球の常識が嘘と判明し、変わっているのは事実です。かつての日本では球数を制限しようという風潮はあまりありませんでしたが、アメリカ流の「肩は消耗品」というか考え方が主流になり、高校野球でも無理な連投やプロ野球の完投は減少の傾向にあります。

それと同時に、投手は球数を減らすことが要求され、三振の取れるものすごい変化球よりも、打者にゴロを打たせるツーシームやカットボールが大きく普及しました。

他の点でも日米の野球観の違いはたくさんあります。当然ながら、アメリカの考え方が全て正しいわけでも受け入れるべきだとも思いません。しかし、少しでも効率的に多く得点をとりたいのはどこの国でも同じです。打順を組み替えるだけでその目標が達成されるなら、こんなに素晴らしいことはありません。

実際にコンピュータを使って打順ごとに何百試合もシミュレーションを行って平均得点率を計算する試みが多く行われています。大抵の場合ベストの組み方は3番に最強打者を置くべきだという結論に至っています。

ところが、ある研究によると、3番と4番を入れ替えたところで平均得点は一試合当たり0.05点しか変わりません。(出典 野球の打順考察  )
プロ野球が一年間に143試合なので一年間で7得点、1ヶ月に1点ほどしか変わらずほとんど差はありません。

これだけでは3番最強打者論を裏付けることはできません。ここではシミュレーションでは現れないが、実際の試合に現れる要素から3番最強打者論を裏付ける根拠を述べていきたいと思います。

3番打者最強論の3つの根拠

1  初回の投手の立ち上がりの悪さを攻めやすい

投手にもよりますが、一般的に1回(立ち上がり)はコントロールが悪い傾向にあります。
そこで打率の高いタイプの打者と少々打率が低くてもホームランが打てる打者のどちらが適しているか考えてみましょう。

打率の高い打者ほど、厳しいコースも上手に打てたり、ファウルで粘れたりします。
逆にホームランバッターは厳しいコースに対応できなくても、甘い球を一振りで仕留める傾向にあります。
投手のコントロールが定まらないうちは甘い球がくることが多くなるので、それだけホームランバッターに分があるといえるのです。
よって1回からホームランバッターに確実に打順をまわすには3番(もしくは2番)におくのがベストといえます。

 

 

2  ランナーがピッチャーにプレッシャーをかけられる

足の速いランナーが塁上にいるとピッチャーはランナーに気を取られて制球が乱れたり、盗塁を警戒して直球が多くなり、バッターは的が絞りやすくなります。
その場合、対応力が高いタイプより、甘い球を仕留められるホームランバッターが打席に入る方が、より効果的になります。
1番打者は足が速いことが多いので1番打者が塁上にいるうちに、ホームランバッターに打席を回すのがベストです。よってホームランバッターは3番(もしくは2番)におくのがベストと言えます。

 

 

3 敬遠を減らせる

3番に打率の高い打者、4番にホームランバッターを置くと4番が敬遠されやすくなります。ホームランバッターの後に打率の高い打者やチャンスに強い打者をおくことで、投手は敬遠しづらくなり、ホームランバッターと勝負する確率が高まります。
実際にこれを実践したのが、王、長嶋を擁して9連覇を達成したころの巨人です。王はいわずとしれた最強のホームランバッターですが3番にすわり、チャンスに強い長嶋が4番に座りました。
この采配の意図を、後に川上哲治監督は敬遠を避けるためだったと語っています。

いかがでしょうか。実際の試合ではシミュレーションに現れない要素により3番打者最強論が有利だとわかります。これからの日本野球界では4番ではなく3番にホームランバッターをおくのが少しづつ常識になるのではないかと予想しています。



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