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あの手この手で法の網をかいくぐる客引きたち
東京の繁華街を歩けば一度は客引きに勧誘を受けることでしょう。違法な客引きは法律で厳しく禁止されていますが、居酒屋やキャバクラの客引きは減る気配すらありません。客引きをいえば巧みに嘘をつき、何十万という高額な金額を店でぼったくられるというイメージもありますが、近年は被害額が少ない「プチぼったくり」など、あの手この手で客からお金を取ろうとします。新宿では客引き防止の歌まで流れていますが、それでも嘘に引っかかってしまう人は後を絶ちません。
客引きは客のことなどこれっぽっちも考えずに嘘をつく
お客様は神様、というのは日本の多くの業界の常識ですが、一番客と接する客引きがこれっぽっちもそんなことを考えていないのは滑稽です。客引きは基本的に夜にやるものですから、意識の低い大学生やフリーターに需要のあるバイトです。割のいいバイト感覚で取り組んでいるので、責任感のせの字もないので簡単に嘘をつきます。中にはひと月で何十万円も稼ぐ人もいますからしゃべりのうまい人が金目当てで取り組むのも無理はないのかもしれません。
一般客に見せかけた巧妙な客引き
客引きといえば、繁華街を歩いている人に声をかけ、嘘を並べて、客を店に案内して終わり、というイメージもありますが、近年は一般客に見せかけた巧妙な客引きも存在します。
具体的な手口としては普通の通りすがりを装った女性が、終電を逃して立ち止まっている男性に声をかけ、一緒に飲もうと持ち掛けます。いい気になった酔っぱらいの男性は女性についていき、女性は偶然を装って、「ここ安そうだから入ろうよ」と言って、グルになっている店に一緒に入ります。女の子はそこでジャンジャン日本酒などの酒を注文し、男性の方も見栄を張ってどんどん強い酒を飲みます。しかし、もちろん女性が飲むのは日本酒ではなく水。お会計を男性にさせれば、女と居酒屋は懐が痛まないどころか、日本酒と水の差額分得します。
終電を気にしなくてよいことから、店にいる時間も長く客単価も高くなります。これは実際に私の知り合いがあった詐欺の手口です。間違えて女性の酒を飲んだら中身が水だったことに気づいて嘘が発覚しました。
チェーン店の名前を借りた悪質な詐欺
メディアやSNSの影響で客の客引きに対する警戒心が以前より強くなったのは確かです。しかこの警戒心さえもかいくぐって嘘をつくのが今の客引きです。客引きはしゃべりのプロですから、頭の回転が速く、次々と対抗策を練ってきます。客が
「知らない店よりも大手のしっかりした店に行けばいい」
と警戒心を強めているところを利用するのです。客引きは大手の居酒屋チェーン店の前で客に話しかけ、その店に行きたいが予約をしていない客を探します。見つかったら、無線を使って連絡を取っているようなふりをして、その店が満席だと嘘をつき(本当に満席なこともありますが)系列の店を紹介すると嘘をついて、自分の店に客を引き込んでしまうのです。
最近は大手のブランド力を違法に借りた居酒屋が増えています。関西を中心に展開する「鳥次郎」は外装、メニュー、看板、内装、出店するビル、まで全て鳥貴族を真似し、価格だけが鳥貴族より10円安くなっています。何も知らない客だったらチェーン店だと思い込んで入ってしまうでしょう。酔っぱらいなら本物の鳥貴族だと思うかもしれません。
鳥次郎に限らずこのような手法は東京でも頻繁に耳にします。このような独自色を出す工夫もせずに他店を徹底的に真似るのは居酒屋業界の悪習です。この業界では店の名前を頻繁に変えながら同じ手法を繰り返す店が多く存在するので、少々店の名前が似ているだけで本物の系列店だと思う人が増えてしまうのです。
近年増えているプチぼったくりとは
ぼったくりといえば、何万円、ときには何十万円も被害あうというケースは近年減少の傾向にあります。ぼったくりや客引きで逮捕者が出て以降、店側もあまり派手なことはやりません。逆にそこまで悪徳ではなく普通に美味しい居酒屋が週末だけ急に姿を変えるケースもあります。
客引きはかなり安めの金額の飲み放題を提示し、通りすがりの一見の客を店に誘導します。しかし彼らに待っているのは、お通し代、チャージ量、週末料金、一人二品のフードの支払いです。ぽっきりいくらという宣伝文句はもちろん嘘です。これによって客は想定の2倍ほどの金額を払うことになります。客の方も法外な値段ではないのでトラブルを避けるためほとんどは渋々払っていきます。
このような店は悪評が広まって誰も客が来なくなりそうですが、メニューに書いていない追加料金が課されるのは客引きが連れてきた客だけです。雨などで客が少ない日に最後の手段として行うケースがあります。大半は客引きを通していない客なので悪評や被害が広まるのが遅れてしまうのです。
悪質なぼったくり、客引きへの対処法
このような被害に遭わないための対処法をいくつか紹介します。
1 まず客引きについていかない
これを最初に書いてしまうのは気が引けますが、一番簡単で確実な方法です。客引きなんて嘘しか言いませんから、明らかに客引きとわかる人についていくのをやめましょう。電話に出なければオレオレ詐欺にひっかからないというのと同じ原理です。(近年はそうでもないみたいですが)
しかしここで終わってしまっては面白くありません。自分のグループのリーダーが客引きの口車に乗せられてしまうケースもあるでしょう。客引きについていったあとはどうすればいいでしょうか。
2 食べログ、Googleで店を検索する
シンプルで簡単な方法ですが意外にもこれをやる人は少数派です。店を食べログで検索する人を「食べログ信者」なんて小も馬鹿にする人もいますが、自分の身を守るには最良の方法です。口コミをしっかり見てみましょう。いい評価と悪い評価に二極化していたら注意が必要です。
また、グーグルやTwitterで検索して評判を調べるのも有効です。悪徳な居酒屋は店名を頻繁に変えながら運営しているところも多いので、ほとんどヒットしない店に行くことはお勧めできません。
3 領収書を書いてもらう
プチぼったくりではなく、大がかりなぼったくりに遭った時は領収書を書いてもらいましょう。領収書自体にそこまで意味はありませんが、店側は警察への発覚を恐れるため、領収書を書いてくれの一言で価格交渉が有利に進みます。
4 警察に電話する
警察に電話する場合はタイミングと通報の理由が重要です。警察にぼったくりの被害にあっていると言っても、民事不介入を盾に拒まれるのが落ちです。相手が胸倉をつかんで来たり、監禁状態に置かれたら、警察にあくまで暴行、監禁として通報しましょう。警察に連れて行かれたらあくまで、暴行もしくは、監禁の被害にあったといいましょう。ここまで来たら論点を金額からずらすことが重要です。
5 もし払ってしまったらSNSで拡散してしまえ
もし高額な金額を払ってしまったらいっそのことTwitterなどに載せて拡散してしまいましょう。もし大がかりに炎上して店側も放っておけない事態に発展したら、店に電話して、ダメもとで投稿の削除の代わりに料金の一部返金を持ち掛けてみましょう。
いかがでしょうか。どんなことをいわれても客引きのいうことを真に受けてはいけません。すべて嘘だと話半分に聞き流すのが正しい対処法です.