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自炊は時間の無駄遣い
額面だけの節約
大学生や一人暮らしの人で節約のためと思って自炊をしている人は結構多いのではないでしょうか。確かに毎食外食をするよりも自炊したほうが食費は明らかに減ります。一人暮らしの貧乏学生というと、どうしても自炊のイメージが連想されます。
例えば朝ごはんを軽く済ませ、昼ごはん、夜ご飯を外食にした場合、一人当たり月に4万円くらいに収まります。もし全て自炊でまかなっていれば月に2万円くらいで収まります。(飲み会代は除く)
自炊をすれば一カ月で2万円の節約だ!と考えるのは少し早合点です。自炊にはガス代、水道代などの光熱費がかかります。食材をすべて使い切れるとは限りません。そして何より時間を取られます。
献立を考え、余りものの処理に苦労し、スーパーの特売の日を狙って買い物に行き、料理を作って、皿洗いをして…なんて考えたら一食あたり一時間は取られることになります。
タイムイズマネーの発想
一食あたり一時間も取られていたら、一カ月に少なくとも50時間以上は料理に関与することになります。もし自炊をしなければその40時間でお金を稼げます。時給千円のアルバイトであれば4万円も稼げます。2万円をケチったがために、4万円を稼げる機会を失う。これを経済学では「機会費用の損失」と呼びます。本来得られるはずの利益を、別の行動をとることによって失ってしまうことを意味します。
特に若い時期の時間は1時間1000円でも安いくらいの貴重なものです。この時期に時間を割いてスキルを身につければ、その先ずっと自分を助けてくれるかもしれないのです。
想定されうる自炊肯定派の反論
ネットでいろいろ調べてみると様々な自炊肯定派の反論が出てきます。それを大きく3つに分けると
- 外食だと栄養バランスが異なる
- 自炊すれば料理のスキルが身について役に立つ
- 例え時間が浮いても、その時間にお金が稼げるわけではないから無意味
となります。1つずつ見ていきましょう。
外食をすると栄養バランスが偏るのか
外食というとファストフードのイメージがあるためか、脂っこいものばかりを食べ、野菜が不足しがちだというイメージを持つ人は多いようです。しかし、しっかりと栄養バランスを考えたものを出してくれる、飲食店、定食屋を山ほどあります。
問題は本人の意識の問題です。しっかりと店を選べば栄養は偏らないのに、どうしても好きなものばかり食べてしまう。そんな人が自炊に切り替えたところで劇的に栄養バランスが改善するとは思えません。パスタばかり食って栄養が偏るのがオチです。そもそも自炊をしない人は初めから栄養バランスにそこまでこだわりがありません。
栄養バランスに興味がない → 自炊をしない → そもそも栄養に関心がないので好きなものばかり食べる → 栄養が偏る
というのが正しい論理です。一見「外食は健康に悪い」と錯覚してしまいますが、健康意識が高い人であれば自炊をしなくても栄養が大幅に偏ることはありません。
自炊をすると料理のスキルが身につくか
確かに自炊をすると料理のスキルは上がります。女性であれば「料理くらいできないと」と考え自炊する人もたくさんいますし、料理自体が楽しければスキルも身について一石二鳥です。
しかし、料理がそこまで好きでない人がわざわざ時間を割いて自炊をする意味はあるのでしょうか。料理男子はモテるだとか、かっこいいという風潮があり、有利なのは確かです。
まず、押さえておきたいのは料理はそんなに難しくないということです。一カ月毎日自炊を続ければ人にだしても恥ずかしくないくらいのものは作れます。もちろんそれ以上続ければどんどんうまくなっていきますが、味に劇的な変化がおきるものではありません。クックパッドでも見ながら、真似するくらいのレベルを身に着けておけば料理のバリエーションに困ることはないでしょう。
そう考えると若い大切な時期に、料理に無理に時間を割くのはもったいない気がします。一カ月続けただけで形になるスキルは他にはほとんどありません。これからの時代を考えると
- コミュニケーション能力
- 語学力(複数の言葉をしゃべれると尚よし)
- プログラミング
- パソコンスキル
- マーケティング
- 接客
- 大学の専攻内容
など身に着けるべきスキルはたくさんあります。料理と比較にならないようなものばかりです。
自炊をするべき人
以上のことを踏まえると、若い世代で自炊をしたほうが人は以下の3つの場合に分けられると思います
- 料理が好きな人
- 恋人と同棲している人
- どうしても手持ちのお金がなくせっぱつまっている人
料理が好きなら、趣味と実益を兼ねているので言わずもがなでしょう。一人暮らしではなく複数人分つくる場合は節約の効果が強まります。また、どうしても働けない事情があってお金がない場合も仕方ないケースです。
時間とお金の不思議な錯覚
家を購入するときに、何十万円もする使わないオプションをつけませんでしたか?何千万円もする家に比べれば30万円くらいでも安く見えるから不思議です。もちろんオプションであろうと食費であろうと30万円は30万円です。
通常、人間の頭の中には「住宅購入費用」か「生活費」という2つのカテゴリがありそのカテゴリの中で金銭感覚が違います。これが30万円でも安く見えてしまうカラクリなのです。
この話は実は時間にもあてはまります。大学生であれば「バイトをする時間」と「暇な時間」、社会人であれば「平日」と「休日」となります。どうしても後者と前者では時間に対する意味づけを変えてしまいます。
例えばあなたがどこかでバイトをしているとしましょう。そのバイトはもうすぐ辞めるので自分の評価が下がっても気にしません。あなたはバイトの日に高熱が出て出られなくなりました。普通であれば
「高熱で苦しんだうえに、本来得られるはずのバイト代も得られかった」と思います。
しかしバイトも用事も何もない日に高熱が出たら
「高熱で苦しんだ」で終わりです。「本来得られるはずの・・・」という悔しさはそこまでないはずです。かくいう私も大学生の頃に同じことを思いました。
しかし、本来であれば、バイトをしている時間もしていない時間も同じように過ぎていきます。価値はどちらも同じです。それでもカテゴリを分けるだけで時間の価値が異なって見えてしまうのです。
この考え方をしてしまうからこそ、時間の大切さに気付かずに自炊をして、無理な節約を行ってしまうのです。自炊以外にも「特売品を狙って遠くのスーパーに行く」「少し遠回りしてでも安いルートを通る」という間違った節約をする人はたくさんいます。カテゴリによって価値が違う例について以下のツイートが参考になります。
ケータイキャリアがアイスにハンバーガーに牛丼にとキャンペーンで競い合っているのを見ると、『人間は値下げされるより、その額以下の小さいおまけを好む』という言葉を思い出す。テレビ通販で『今すぐ注文すればもう1個』とかやってるけど、値下げするよりそちらの方が効果があるのが分かっている。
— Sota Tominaga / SNSで60億円以上売ってきた人 (@sota_tominaga) July 3, 2017
人間は小さなおまけを好むということがわかります。これも「携帯料金」と「食費」を別々に見るからこそお金の価値が違って見えてしまうことのいい例です。
時間を大切にしよう
タイムイズマネーという言葉がある通り時間は大切です。それは働いている時間だけではありません。働いていない時間をいかに有効に使うかが、数年後、数十年後に影響してきます。
暇な時間にやることは無限の選択肢があります。果たして今やっていることが「無限にある選択肢の中から選ぶに値すること」なのか考えてみる癖をつけることが、時間を有効に使う第一歩になります。