; 日本人の批判的思考を阻害する2つの言葉 | 嘘を見抜く人 見抜けない人

常識のウソ

日本人に批判的思考が足りないのはこの言葉のせい


目次

批判的思考が阻害される日本の環境

日本人の特徴としてよくあげられるのが、権威主義的で、批判的思考能力が足りていない点です。権威を無批判に信用してしまう傾向があるのは確かです。

日本人は権威のある医者や教授という宣伝に弱く、学歴に対する信仰が強い傾向にあります。就活でもネームバリューのある大企業が人気です。マスコミの報道に惑わされやすく、テレビに出ている=権威だと思ってしまうのも特徴です。

以前ある有名な舞台俳優が初めてテレビに出たときにマスコミが「長い下積みから脱却してようやくテレビデビュー」と報道したことが印象に残りました。その俳優さんは舞台で長い間活躍していたのにテレビに出ていないだけで、成功していないと思われてしまうのです。


日本人は権威主義的であるゆえに、モンドセレクションのような名前だけかっこいい賞を宣伝する企業がいっぱいあるわけですね。  以前の記事はこちら

感覚としては、以前の日本よりその傾向が弱まりましたが、依然として日本人の批判的精神は弱いままです。アメリカのほうが学歴が重視されるから、アメリカだって権威主義じゃないか、という批判もあるでしょう。確かにアメリカのほうがよっぽど学歴社会です。

 

しかし、アメリカの場合、ただ有名大学を卒業しただけでは評価されません。大学の成績がよくて初めて評価されるのです。つまり、有名大学を出た、一見頭のよさそうな人物にも「この人は本当にしっかり勉強したのだろうか」という批判の目、疑いの目が向けられるのです。日本のように東大中卒といっただけですごいと言われる社会ではありません。

 

 批判すると嫌われるという考え方

欧米では権威のある人、さらには仲のいい人まで、自分の思うことがあればスパッと批判します。学会で有名な教授が発表をしても、内容がつまらないとブーイングの嵐です。ママ友同士でも議論をふっかけます。

日本人なら「相手に嫌われてしまうのではないか」と恐れて批判できない、という人が大半ではないでしょうか。

 

しかし欧米の人はそうは考えません。彼らは「相手と意見が違うこと」と「相手が嫌いであること」は別物と考えます。人種や出身、民族や文化が異なってくれば考え方や意見が違うのは当たり前です。異なる意見の人々が互いに調和しながら生きています。

日本人が皆「異なる意見の人を嫌い」と思っているわけではありません。むしろそう考える人のほうが少数派です。

アンケートサイトのマインドソナーを用いて行われた実験では、日本人の4割が「異なる意見の人が嫌い」と答えています。

 

つまり残りの6割はそんなふうに考えていません。

この4割という数字は一見少なく見えるのがなかなか厄介なところです。

 

あなたの友達のうち5人に2人が「異なる意見の人が嫌い」と考えているのです。つまりあなたが友達の意見を普通に批判する態度をとれば、4割の友達を失ってしまうといえます。そんなことするくらいなら、自分の意見を多少押し殺しても、友達の意見に同調しておこう、となるわけです。

 日本の教育で批判的思考力は身につくか

人は生まれたときから権威主義なわけではありません。小さい子は批判的思考力がついていないかわりに権威主義の考え方も持ちません。大人になるどこかの段階で多くの子供は権威主義的な思考を身につけます。

もちろんそれは、100%悪いことではありません。自分の信頼できるものの基準を作っておかないと何を信じればいいかわかりません。

 

大事なことは同時に批判的思考を身につけることです。今の日本の教育でそんなことが可能でしょうか。通常はNoです。

小学校や中学校で行われるディベートも結局自分の意見をうまくまとめるかが大事で、相手の意見を当意即妙に上手に批判する段階まで言っている例はほとんどありません。

 

小学校で自分の意見を述べる授業はどうでしょうか。その際にハンドサインを使っていたというところも多いようです。例えば手を挙げるときにチョキにすると「前の意見へのつけたし」「グーにすると反対意見」などです。

 

一見この授業でも批判的思考が身につくような気がします。私いろいろな機会で小学校の授業を見てきましたが、ほとんどの場合「意見のつけたし」ばかりで反対意見が述べられません。より正確にいうと、反対意見を述べようとする子が当てられないのです。

 

確かに「意見を付け足す」という行為は前の意見者のすぐ後にしないと文脈が失われてしますので、当てる先生の気持ちもわかります。それに何より「反対意見を出す」よりも「意見を付け足す」ほうが前の意見を利用して考えられるので簡単な行為です。

こうなると反対意見を積極的に出そうとする子が減るのも無理はありません。自分の意見を積極的に述べる授業のはずが、ただ他人の意見を聞いて賛同し、その意見を利用して、具体例を出したり、詳しく述べたりするだけになっています。

批判的思考力を阻害する2つの言葉

ならお前がやってみろ

批判的思考力を阻害する、日本人がよく使ってしまう言葉。一つ目は

「ならお前がやってみろ」

 この言葉論理的におかしいと思いませんか。

「このレストラン飯がまずい」 「ならお前がつくってみろ」

「松坂は給料泥棒だ。ストライクを入れろ」 「ならお前が投げてみろ」

「あの政治家は無能だ」 「ならお前がなってみろ」

 

みたいな感じの批判はテンプレになりつつありますね。

しかし自分ができないことを批判できなとしたら世の中は成り立ちません。

 

人間が仕事をすると常に評価がつきまといます。それは仕事をするうえで避けられないことです。自分がいい仕事をして、そのサービスを評価してお金を払ってもいいという人がいるおかげで生活が成り立ちます。

自分に対するいい評価は誰からでも受け付けるが、悪い評価は玄人や、わかっている人からしか受け付けない、いうのはフェアではありません。

お金をもらっている限り、仕事の評価はつねにオープンでなければなりません。

自分ができるできないにかかわらず、良いものは良い、悪いものは悪いと言える世の中になってほしいものです。

常識的に考えろ

2つ目の言葉は常識的に考えろ」です。この言葉は「思考を停止させろ」と言っているのと同じです。個人的に嫌いな言葉ワースト3にも入っています(笑)

この言葉は、何かを論理的に説明するのが面倒くさい時に非常に便利な言葉です。これを言われたら反論しにくいですよね。常識というものは、場所や時代によって大きく変わります。当然間違った常識だって山ほどあります。常識だからといってあまり深く考えずに行動する習慣がついたら、とても批判的思考力どころではありません。

いかがでしょうか。この言葉を普段から使っている、もしくは似たような考え方をしている人は批判的思考力が弱い可能性があります。



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