マッチポンプ商法に気を付けよう
世の中にはいろいろな悪徳商法が存在しますが、その中の一つ、マッチポンプ商法をご存じでしょうか。マッチで火をつけて、ポンプで火を消化する、という意味の和製英語です。
マッチポンプの語源は諸説あってよくわからないのですが、1960年代に日本で生まれた言葉というのは確かなようです。
マッチポンプ商法は偽善的な自作自演を意味します。例えばマッチで自分で火をつけておきながら、自ら火を消すことで相手に感謝される、もしくはポンプの水を困っている人に売って儲けようといいう発想です。
相手を困らせて、困っている人に解決策を用意するという発想です。
マッチポンプ商法の例を挙げてみましょう
・地雷を販売していた軍事企業が地雷除去機材を独占販売する
・手荒れの原因となる洗剤を発売している企業がハンドクリームも販売する
・広告をブロックする機能を開発した企業が、広告主向けにブロックをかいくぐるプラグラムを提供する
・ブラックなSEO対策を代行し、googleのアップデートにより通用しなくなったら、今度はそのSEO対策を取り除いてお金を取る。
などです。昔日本軍が行った、張作霖事件や柳条湖事件も自作自演のマッチポンプ商法と言えるでしょう。
Amazonジャパンはネットショップのシェアを拡大してから、急に送料無料のサービスをやめ、驚いた客には、年会費3900円で送料が無料になるプライム会員に入るよう誘導すると、いうのもマッチポンプ商法に近いものがあります。
お客を囲って逃げられなくしてから、サービスの形態を変えるというのも典型的なマッチポンプ手法です。
マッチポンプ商法は最近生まれた商法というよりも、古くからある手法です。しかし、最近になってネットを使った巧妙なマッチポンプ商法の噂を耳にするようになりました。
ここ最近受けたマッチポンプ商法に関する被害例を紹介します。今回の相談者をCさんとしましょう。Cさんは東京で従業員10人前後の小さな企業の社長をしています。知名度もそこまで高くなく、細々と事業を続けていました。
そんなある日会社のもとに一本の電話がかかってきました。若い男性がいうには、Cさんが経営する会社のひどい噂がインターネットの掲示板に書かれていたそうです。実際に会社名で検索してみると、検索のかなり上位に根も葉もないうわさを書いた掲示板がたくさんあります。電話をかけた若い男性は、インターネットの健全化を図る仕事をしているといい、安価な値段で掲示板の悪口を独自のルートで消してくれるという話でした。
万が一のことがあるのでお金は後払いでいいといわれ、Cさんは仕事が減ってしまうことを恐れ、削除を依頼しました。
それから3週間後、Cさんのもとに悪口が削除されたという報告が入りました。それはよかったのですが、ネックになったのは金額です。男性が言うには、弁護士を雇ったとか、かなり犯罪すれすれの危ない橋を渡ってなんとか削除したことを理由に法外な価格を請求されました。払わないと損害賠償請求をすると脅され、Cさんはなくなく大金を支払ったそうです。
皆さんもおわかりでしょうが、このケースでは、悪口を書いたのは削除代行業者と同一と思われます。自ら悪口を書き込み、相手を困らせ、削除代行を言う解決策を提示するという典型的なマッチポンプ商法です。
相場がわからない無知な相手に法外な金を請求するのが非常に卑劣な方法ですね。
ここでは大企業ではなく、知名度の低い中小企業が狙われたということもポイントです。大企業は掲示板で悪口を書いたところで、検索エンジンで上位表示されるのは至難の業ですが、知名度の低い、つまりあまり検索されない会社名なら、比較的上位表示は簡単です。
中小企業が狙われるのは、もともと困っている人のほうが騙しやすいという手口も使われています。ただでさえ知名度が低く、収益も安定しない会社は、これ以上悪評を広めて仕事を減らしてはいけないと思い、冷静な判断ができなくなってしまいがちです。
金持ちから1円とるより、貧乏人から1万円とるほうが簡単だ
税務の世界ではこんな言葉もあります。金持ちは意外と金に細かく、情報を多く持ち、あらゆる手段で税金を払わない工夫をしますが、貧乏人は無抵抗でいることをうまく例えています。
大企業から金をだまし取ろうとしたら、多分向こうには凄腕弁護士や法律家がついて、裁判になったら勝ち目はないでしょう。
「俺はお金を持っていないから大丈夫だ」なんて思っていませんか?知らず知らずのうちに搾取されている可能性があることを忘れないでください。
最後までお読みいただきありがとうございました。