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宮崎駿引退宣言とネタツイ
映画監督の宮崎駿さんがこの度引退を撤回し、長編アニメ制作に復帰することを発表しました。その裏で「宮崎駿の引退宣言集」なるものがフジテレビ系列の「ワイドナショー」で放送され話題を呼びました。「人生最高で引退したい気分」「アニメはもう十分」などといった言い方は違えど、7回にも及ぶ「辞める辞める詐欺」を信じてしまった人も多いのではないでしょうか。
宮崎駿の引退撤回で、新たなテンプレが生まれる予感。https://t.co/cN6ZO42iZl
— あれっくす (@NStyles) May 19, 2017
しかしこのニュースは全くの嘘。2013年にツイートされたネタツイを番組制作側が鵜呑みにして事実確認を怠り放送したというのが真実です。
全国放送される番組が一つのネタツイを鵜呑みにして振り回されて謝罪をするなどとても信じられません。ダウンタウンの松本は次同じことがあったら降板するというほどの怒りっぷりで、テレビへの信頼がまた失われることになりました。
ツイッターはニュースになりそうなネタツイの宝庫
今回の宮崎駿さんのネタに限らず、ツイッターには「もしこれが本当だったらとんでもないニュースなのに」というようなネタツイで溢れています。ツイッターに親しんだ人には当たり前ですが、これはあくまで一種のジョークなのです。たとえ面白くてリツイート(拡散)してもそれを本気で信じる人はほとんどいないでしょう。
しかし、中途半端にSNSに親しんだ層がうっかり信じ込んでしまい、新たな都市伝説を生み出してしまうような、絶妙なネタツイも存在します。こうした絶妙なネタツイの特徴を押さえておくことはデマが拡散されやすいネット社会では重要です。
上手なネタツイに使われる3つのテクニック
1 画像を効果的に使う
百聞は一見にしかずです。どんなに本当だと言葉で書くより、一枚の画像を使うほうが読んだ人の心に残ります。これは何もコラ画像に限りません。
例えば以前、小学生の漢字のテストで以下のような画像が話題になりました。
https://twitter.com/omosiro_douga_g/status/860788264440971264
これは小学校の習っていないことを使ってはいけないという教育方針を痛烈に批判したものとして話題になりました。上記のツイートはまとめサイトによるものですが、元のツイートは4万以上もリツイートされています。画像による影響の違いははかりしれません。しかし後日このツイート自体が自作自演のネタツイであることがツイートした人の発言から明らかになりました。
この画像は大人が自分で書いて自分で○や×をつけたものだったのです。この画像から見分けるのはとても困難なだけに、なかなか卑怯な方法です。
他にもわざと資料や言葉を打ち間違えて印刷し、「貰った資料(もしくは買った本)にこんな間違いがあったんだけどwww」という風にいかにも自分は何もしていないように見せかける詐欺も存在します。
2 中途半端に権威のありそうな団体が発表したことになっている
権威のある団体が言っているのだから、と信じてしまう人が後をたちません。とはいえ日本政府やNASA、総理大臣など有名すぎる団体の名前を借りると、話が大きくなりすぎて嘘が発覚したり、ホームページを調べる人が多発してすぐに嘘がばれてしまいます。そこで
- ○○大学(地方のあまり聞いたことのない名前の大学)の研究によるとこのようなことが判明した
- 日本漁業協会の発表によると、、、
- 芸能人の○○が昔言ったことによると
などのようにそこそこ権威がありそうで発覚しにくいレベルでソースを示すネタツイが多いです。ワイドナショーの宮崎駿さんのネタも最近あまり話題にならなかった権威のある人だったからこそ嘘を信じてしまう人が増えてしまったのです。
3 時事的な話題に絡める
時事的な話題はその話題が強力であるほど効果的です。例えば東北や熊本の大地震、北朝鮮のミサイルなど、前代未聞とも思えるような、人々の心を動揺させるニュースに際して嘘のネタツイを流してもそれを信用するひとが増えてしまいます。
例えば東日本大震災に関して、放射能の影響で胴体が以上に長い犬や、形のおかしい魚が生まれたとか、原発で働く人の間で女の子ばかりが生まれるようになったというデマが拡散されました。ちょっと画像をいじれば、簡単にコラ画像を作れるのに、人は体験したことのないニュースにあうと、冷静な判断力や批判的精神を失ってしまうのです。
ネタツイや嘘に騙されないためには一次資料に当たることが大切
一次資料と二次資料の違い
一次資料とは一般的に「実験に基づく直接的な資料」という位置づけで、誰の解釈も加わっていないという点で、物事の調査をする際に最も重要となる資料です。二次資料とは一次資料をもとにして作られた資料のことです。
これだけではわかりにくいので具体例を見てみましょう
一次資料
- 事実をそのまま書いた新聞の記事
- 科学の実験データ、もしくはそれを直接もとにした論文
- 政府や団体の公式発表
- 歴史上の日記や絵巻物
- インタビューの会話の原文や音声
二次資料
- 評論や社説
- 資料集
- 雑誌のまとめ記事
- インターネットのキュレーションメディア記事
- Wikipediaや百科事典
なんとなくおわかりいただけたでしょうか。ではここで問題です。一般的な書籍はどちらに入るのでしょうか。
答えは、どちらに入ることもある、です。ちなみに二次資料をもとにして作られた資料は三次資料となります。書籍が直接調査したデータを基にして作られていれば一次資料ですし、他の資料を引用して作られていれば二次資料です。大抵の本は、両方の要素が入っています。
一次資料を探す癖をつけよう
一次資料を使うことの大切さは学校であまり習いません。大学でしっかりとした教育を受けた人であれば知っているでしょうが、高校までの学習で教わることはありません。両者の区別が習慣になっている人は少数派ではないでしょうか。情報社会の中でしっかりとした1次資料にあたることで騙されたり、余計な情報に振り回されることは少なくなるでしょう。
もちろん一次資料がすべて本当だとは言いません。一次資料の作成者がずるをしたり(小保方さんのように)都合のいいことばかり書く場合がありますが、それは別問題です。誰でも簡単に嘘をつける二次資料に比べればずっと信頼できます。
今のインターネット上の情報は二次資料であふれています。それと同時に個人の体験やニュースをもとにした独特の視点からの記事の希少性が高まっています。このサイトも私や信頼できるひとの体験談や相談をもとに情報を発信しています。情報を探すだけでなく発信する人にとっても一次資料を意識することは重要になってくるでしょう。