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宝くじ専用のソフトを売る時代は終わった
「宝くじ詐欺」という詐欺をご存知でしょうか。簡単にいえば、宝くじの当選番号があらかじめわかる、と嘘をついて、それを信じ込んだ人から、お金をだまし取る行為です。主にロト6が利用されます。
「宝くじの当選番号は法則があるから、このソフトに計算させれば使えばロト6でも当選しますよ」と言って、高額なソフトを買わせる手法が、一昔前にはやりました。この手のソフトがあまりにも流行し、そのすべてがインチキだったので(当たり前ですが)この手法はすたれていきました。
しかし、近年、さらに巧妙化され、無知な人が信じ込んでしまうような手法も誕生しています。ソフトを売り付ける詐欺は、率直にいえば、売り込みかたや買わせ方が稚拙だと感じることもありました。反対に近年生まれている手法は、あの手この手で工夫が凝らされています。
具体的な手法は以下の4つです。
- 宝くじの予想ソフト1000円ほどで売り、買った人が電話営業のターゲットになり高額なお金を請求される
- 新聞でしか結果を確認しない老人にその前日に当選番号を教えて、予想したように見せかける
- 宝くじを予想するボードを買わされる
- 日本ではなく、海外の宝くじを利用して詐欺を行う
一つずつ見ていきましょう。
宝くじ詐欺の4つの手法
1 宝くじ予想ソフトを安価で売って個人情報をとる
これは私の友人が実際にあった手法です。といっても実際に大金をだまし取られたわけではありません。
宝くじを買うことが趣味のNは、2ちゃんねるを見ているときにふと、ロト6当選番号予想ソフトの広告を目にしました。パソコンの誤作動でクリックしてしまい、目に入ったのは
「定価19万円の商品が今なら1980円。」
の文字でした。なんと99%引きです。2000円といえばロト6の7口分くらいだし、その金額で夢が買えるならとダメもとで購入を決めました。もちろんNの予想通りそう簡単に宝くじがあたるわけではありません。当たらないけれど、番号を考える時間が節約できるからそこまで損ではないというのが彼の考え方でした。
ソフトを購入してから3週間後、ちょうどバレンタインデーの頃に、ソフトの販売会社から電話がかかってきました。
「Nさん。本当に申し訳ありません。先日お送りしたソフトのソースコードに問題があり、間違った番号が出力されることが相次いでいます。実際に正しいコードによる結果は1月○日にロト6で2等を当選させています。今すぐに正しいソフトをお送りしたいのですが、実績が出たことで予約が殺到しています。もうすぐ製造を中止する予定なのでお送りできないかもしれません。そこで1週間以内に、定価の19万円をお送りいただいた方のみにお送りすることにします」
このような内容でした。Nにとってはダメ元で安かったから買っただけなので、すぐに嘘を見抜き事なきを得ましたが、同様の例で騙されてしまった人がいるようです。
Nのもとには数か月にわたり、様々な業者から宝くじに関する儲け話の電話が相次ぎました。最初の会社が別名義でかけたのか、それとも、電話番号が同業者にわたったのかはわかりませんが、個人情報が利用されたことは確かです。会社の目的は1900円でソフトを売ることではなく宝くじ詐欺にひっかかりやすいカモの個人情報を得ることだったのです。
新聞とロト6を利用した宝くじの詐欺
ネットを使わず、テレビや新聞を情報源とする高齢者がターゲットになる詐欺です。ロト6がよく利用される傾向にあります。
ロト6の抽選は月曜日と木曜日の19時ごろに行われ、翌日の新聞に結果がのります。ネットを使わない人は大抵の場合、翌日の新聞で初めて抽選結果を知ることになります。中には、前日の時点で抽選が終了していることを知らない人もいます。
そういった情報弱者の高齢者に月曜日や木曜日の夜に電話をかけ
「自分は宝くじの当選番号を知る権利を持っています。試しに今回のロト6の当選番号は○○○○○○です。明日の新聞にはその結果が出ているはずです。」
と言って相手を信用させる手口です。単純ですがあちこちで被害が報告されています。
宝くじを予想するボードを買わされる詐欺
「宝くじが当たる本」のシリーズが数年前に流行しましたが、その本の中でもボードが使われていました。ボードを使う方法の成功を見て多くの似たような本が出ました。
近年は本ではなく直接ボードを売り付ける詐欺が流行しています。今回の相談者Kさんはツイッターによる営業で「億万長者ボード」なるものを20万円で購入させられました。
Kさんのツイッターに一通のDMが送られてきました。川上と名乗る男性は、宝くじの当選番号の法則に基づいて、15枚のボードを3年の歳月をかけて作り上げたと言いました。DMに添付された動画を確認すると、
「2週間前に完成したばかりなのに、初めての検証でいきなりロト6で3等当選」
という内容があり、実際にボードを使って数字が浮かびあがる様子が動画になっていました。動画には東京大学の小林と名乗る教授が登場し、最新のビッグデータを駆使して作成に協力したという内容になっていました。さらに「もし2等以上が当たってしまうと人気が出すぎて高くなってしまうので今ならお買い得」と追い打ちをかけてきます。
半信半疑でしたが、動画で検証もされているし、東大の教授が勧めているならもしかしたら…と思い購入してしまいました。結果は…皆さんのご想像の通りです。ボードも当選番号がわかった後に作ればいいですし、東大の教授がそんなことにビッグデータを使うなんておかしな話です。
海外の宝くじを使った詐欺
日本の宝くじは以前から、こうした詐欺について警戒を呼びかけています。それを受けて日本ではなく海外の宝くじを利用した詐欺も報告されています。例えば
「アフリカのナイジェリアでは近年宝くじの制度ができたが、現状は宝くじの主催者が政府の役人に買収されている。制度に穴がある今のうちに情報提供料を払えば必ず当選させる」
と言ってお金を振り込ませる手法もあります。アフリカだとそんなことがあってもおかしくない…という心理を巧みについています。
宝くじに王道はない
「宝くじに王道なし」、これは当たり前のことです。どうしても当たりたけらばひたすら買い続けるしかありません。ロト6の一等を当てようと思えば、とんでもないお金をつぎこむことになり、ほとんどの人は損をして終わります。
冷静に考えればわかるのですが、宝くじの詐欺が起きる背景には「宝くじを買う習慣のある人は詐欺にあいやすい」という結果が関係しているはずです。 関連記事 詐欺に遭いやすい人の7つの習慣
詐欺に遭いたくないなら宝くじを買う頻度を減らすことを推奨します。