目次
実際にあったデート商法の体験談
デート商法の相談がありました。今回の相談者は今年の4月に社会人になったばかりのBさん(男性)です。
最近流行しているフェイスブックと連携した出会い系サイトに登録したBさんは仕事で忙しい合間をぬって女性にメッセージを送り続けました。
顔にあまり自身のないBさんはなかなかうまくいかず、1か月経った時にそろそろやめようと決心しました。
最後のつもりでメッセージの受信箱を開くとそこには同い年の女性からのメッセージが。すごく自分に興味を持ってくれるような内容でしかもかなりの美人です。
すぐにメールアドレスを交換してLINEとフェイスブックに移行して10日ほど経ったときに女性の側から「デートしたい」の言葉が。
女性は「はるみ」という名前で宝石店のオーナーをしているとのことでした。
こんな女性が自分に興味があることを少し不審に思いつつも、Bさんは待ち合わせの池袋に行きました。
目立つ場所で集合しようと提案すると、電話で「人が多いところは探しにくいしナンパされるから」といわれ、裏道に案内されました。
実際に合ってみるとすごい美人の女性で、写メ詐欺はありませんでした。近くの喫茶店でお茶をし、これからどうしようかというところで、女性が
「今経営している店が近くにあるの。自分がデザインした宝石があるから見に来ない?」
と言われ、断りにくかったBさんは、ついていきました。
店に入ると奥の椅子に座らされ、宝石についての熱意や創業した理由を延々と聞かされます。
途中で女性の上司が一緒になり、そこからは宝石の押し売りが始まります。上司はひたすら営業モード、女性は「気に入ったら買ってほしいな」という態度を貫きます。
宝石が80万円と聞いて、Bさんは絶対買わないと決めて断り続けると、いきなり上司が語気を荒げます。
「おまえが私の部下をナンパして無理矢理ここについてきたんだろ。営業妨害だ。警察を呼ぶぞ。」
必死に反論したところで、いきなり女性が下を向いて泣き始めました。
「ほら怖がっているだろう。お前のせいでこんなことになったんだぞ、責任はとってもらうからな」
ここでデート商法の詐欺だと確信を得たBさんは揉みあいになりながら、なんとか逃げ出してタクシーに乗って帰ったそうです。
デート商法とは
異性を誘惑して恋愛関係にあるような錯覚を相手に抱かせ、信頼させます。その後にデートをとりつけ、様々な名目で商品をねだる、もしくは買わせる詐欺のことです。
被害者の大半は男性ですが、女性が被害者となる例もあります。
似たような詐欺には結婚詐欺があります。結婚詐欺のように結婚を匂わせるようなことはしないという違いもあります。
最大の違いは結婚詐欺はお金を借りたまま逃げるのに対し、デート商法は商品の対価(という名目)としてお金を得ることです。
結婚詐欺は被害差は早い段階で気づきますが、デート商法は穏便に商品を買わせた後に、徐々に距離を置き「友達としか見れなくなった」と言って自然消滅させ、詐欺だと気付かせない手法もあります。
デート商法のよくあるパターン
異性と出会うきっかけに大きな変化
デート商法としては、街頭アンケート、婚活パーティー、街コンなどが主流でしたが、近年はインターネットを介して出会う例が多くなっています。
特に女性が男性をターゲットにする場合、出会い系サイトを使えばほぼ無料でカモを見つけられます。
わざわざパーティーやコンパに出かけて一人のカモを見つけるよりは、不特定多数の人にメッセージを送ったほうが効率的ということでしょう。
デート商法の詐欺師の特徴
デート商法で近づいてくる人の大半はまず、美男美女です。見た目がイマイチで話術が優れているというパターンはあまり聞きません。
ホストやキャバクラで働いた経験があり、異性との会話に慣れた人が大半を占めています。見た目だけでなく服装も非常にしっかりしています。
また詐欺師は話題が豊富という点で共通しています。決して高尚な話題だけでなく、アニメや漫画、BL、理系の話まで網羅しています。
特に、自分に自信のない男性が「どうして自分なんかと仲良くなりたいんだろう」という疑念を感じさせないために、相手が詳しい話題に詳しくなる必要があるのです。
職業もかなり特徴的です。経営者やデザイナーと偽って、自分が手がけた商品を買うように仕向ける例も多くあります。コンサルタントと名乗る例もあります。
買わせる物は毛皮や、絵画、宝石など、相場が素人には把握しにくく、高価なものがほとんどです。
なぜデート商法は減らないのか
デート商法は結婚詐欺に比べると大きく取り上げられる例が小さいですが、かなりの件数があると感じます。(ここの部分だけは統計を取ったわけではないので正確にはわかりません)
近年のデート商法は商品を買わせたあと急にばっくれるケースはあまり多くありません。自然に別れ自然消滅を狙います。その分詐欺に気づきにくいという特徴があります。
また例え商品を購入しても、デート商法は「訪問販売」の扱いになるので、クーリングオフができて、大ごとにならないことも関係しています。
クーリングオフ期間が過ぎてどうしようもなくなっても人に相談しにくいというのも一因です。
「女性(男性)に騙されて高価なもの買っちゃったよ・・・ 恥ずかしくて人に言えない。」
という人は多いのではないでしょうか。
デート商法を見抜くコツ
デート商法は勘がよくない人でも「なんか変だな」と気づけることが多いです。
相手がやたら積極的だったら誰でも少しは疑いますよね。それでも演技と話術によって騙すのが詐欺師です。最初に「怪しいな」と思ったら以下の方法を試してみましょう。
待ち合わせの場所を変えてみる
デート商法は待ち合わせの際に、目立たない変わった場所を指定することが多いです。そうでなくても多くの場合、女性が無事であるか確認するために見張りの人が遠くに立っています。
自分の店に誘導するために都合のいい場所を選びます。そのため待ち合わせ場所の融通が利きません。
場所が全くわからない、正反対の出口に来たから迎えに来てほしいなどと言ってみましょう。LINEではすごく優しいのに、かたくなに集合場所を変えない人は割と怪しいとみていいでしょう。
指定された喫茶店やファミレスに行くことを拒否してみる
デートの際ファミレスや喫茶店に入って話していたら、いきなり上司が横入りしてきて営業に参加するという手法はよくあります。詐欺師のほうも計画がしっかりあるため、いきなり店を変えようといいうと嫌がります。
違う店を提案すると「そこは嫌だ」と言われる可能性が高いので、
「そこの店は父親のせいで出禁になってる」
「ライバル企業の株を買っているから行きたくない」
などと理由をつけて、相手の反応を見ましょう。
電話の場合は後ろの声に注意する
デート商法は結婚詐欺と違って、決して詐欺師一人では成立しません。詐欺師が集団で大がかりにやってきます。大がかりにやるということはそれなりに、たくさんのカモを見つける必要があります。
詐欺師が一つの場所に集まって、メールや電話をするというケースが多くあります。
詐欺師か疑わしい場合は、相手の電話の後ろの声に注目し、同じことをしている人が近くにいないか確認しましょう。
もしデート商法にあってしまったら
商品を買って8日以内ならクーリングオフができます。直接店に行って書面を渡すと脅される可能性が高いので、内容証明郵便で送るか、代理してくれる業者を探しましょう。
もしクーリングオフできる期間が終わっていても、諦める必要はありません。デート商法は訴えにくいと言われていますが、被害者が勝訴した例もあります。
まずは信頼できる弁護士に相談しましょう。