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エイプリルフールとBBCの切っても切れない関係
「嘘を見抜く人、見抜けない人」と題したこのホームページにとって、一年で最も重要なイベント、エイプリルフールが間もなくやってきます。嘘と聞くと悪質な詐欺を思い浮かべがちですが、この日だけはあまり肩肘張らずに面白い嘘を楽しみたいものです。
エイプリルフールの起源とは?
起源に関しては仮説がいくつかありますが、正確にはわかっていません。
最も有力な仮説では、中世のフランス国王シャルル9世に端を発すると言われています。シャルル9世はそれまでの4/1を新年のとする暦を改め、一年の始まりを1/1にすることに決定しました。
しかしそれには多くの民衆が反対。4/1を「嘘の新年」として、バカ騒ぎをして、国王に抗議しました。怒った国王のシャルル9世は命令に背いた民衆を片っ端から処刑しました。その中には13歳の少女もいたそうです。
それ以来、理不尽な処刑の悲しみを忘れないため、4月1日が「絶対嘘をついてはいけない日」となりました。
エイプリルフールの意味が変わったきっけかはBBCの陰謀?
エイプリルフールの起源ではもともと、「嘘をついてはいけない日」だったのですが、どうして嘘をついてもいい日になったのでしょうか?
イギリスや北欧のごく一部の地域では、19世紀ごろからエイプリルフールを「嘘をついても良い日」にして、くだらない嘘を楽しむ習慣が広まっていました。
その習慣を全世界に広げたのはイギリスのテレビ局BBC(英国放送協会)だったのです。BBCはエイプリルフールに毎年嘘のニュースを流すことで有名ですが、あれには最初、明確な目的があったのです。
1960年代、イギリス国内の多くの家庭にテレビが普及しましたが、受信料を払わない人が多くいました。今の日本のNHKと似たような状況でした。
そこでBBCはエイプリルフールを利用し、面白おかしい嘘のニュースを流して国民の注目を引きました。翌日、そのニュースが嘘だったことをBBCが伝えると、一時期は多くの抗議が殺到しましたが、BBCの体を張ったロケや、ユーモアセンスが国民に理解され、見事作戦は成功しました。
それ以来、BBCの好感度は上がり、受信料を支払う人が増えただけでなく、知名度が上がり、有料放送の加入者数が増え、見事BBCの経営は復活をとげました。BBCがエイプリルフールに嘘を流す風習は今も続いています。
嘘のニュースを流して、笑いを取るのは信じられないかもしれませんが、虚構新聞と同じようなものだと考えれば納得できると思います。この出来事をきっかけに、世界中の人々が、エイプリルフールに嘘をつくようになりました。
ある企業の戦略が起源となった習慣はエイプリルフールだけではありません。日本でいうとバレンタイン、恵方巻き、クリスマスケーキがそうです。
バレンタインはチョコレート会社がチョコレートをたくさん売るために広めた週刊です。恵方巻きももともと関西限定だった習慣ですが、コンビニ企業戦略によって全国に広がりました。クリスマスケーキも1920年代に不二家が広めたのがきっかけとなっています。海外の例では、父の日の起源は、大恐慌の際にアメリカで紳士服を売るための戦略といわれています。
エイプリルフールがここまで広がったわけ
正反対の意味を持つようになったエイプリルフールですが、この流れは自然だったのかもしれません。考えてみてください。
「絶対に嘘をついてはいけないまじめな日」よりも
「唯一正々堂々と嘘をつける愉快な日」
のどちらか選べと言われたら、多くの人が後者を選ぶのではないでしょうか。前者だったら、逆に人を騙しやすくなって詐欺が多発しそうですね(笑)
エイプリルフールのネタを考えるのに特別な発想力はいりません。子供が考えるようなちょっと夢のある話を想像すればいいのです。スパゲッティのなる木、空飛ぶペンギン、重力が一瞬なくなって空を飛べたら・・・、どれも子供が思いつきそうな発想ですが、いずれもBBCが流した嘘のニュースです。
エイプリルフールは誰もが童心に帰ることができる。これこそが真に普及した理由なのかもしれません。
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