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還付金詐欺とは
還付金詐欺に関するニュースや呼びかけが最近増加しています。代表的な手口を簡単に説明すると、ATMに不慣れな一人暮らしの高齢者に電話をかけ「年金や医療費を払いすぎているから過払い金をATMを通して返還したい」と言って、油断した高齢者を巧みに誘導して高齢者に気づかれないままお金を振り込せます。通常「振り込め」という旨は言いませんが警視庁は振り込め詐欺の一種として扱っています。
還付金詐欺は決して新しい詐欺ではなく2007年、年金記録の問題がニュースを騒がせたのに乗じて全国的に普及し、10年前から警視庁や各銀行が警戒を呼びかけています。しかしあれから10年以上たっても還付金詐欺の減少の気配は見られません。還付金詐欺の加害者が逮捕されるニュースはむしろ増加しています。
警視庁だけでなく、各種信用金庫、横浜市、相模原市、八尾市、成田市、葛飾区、燕市、川崎市、他多数のホームページで注意を呼び掛けていることからも事の重大さがわかります。
還付金詐欺が減らない原因
- 手口が毎年巧妙化しており、対策が追い付いていない
- 今まで振り込め詐欺が少なかった地域も狙われている
- 市役所や警視庁がネット上で還付金詐欺の警戒を呼びかけてもネットを使わない高齢者に届いていない
- 若者が親と最新の詐欺の情報を共有しない
などが挙げられます。具体的に見ていきましょう。
1 手口が毎年巧妙化している
先ほど典型的な一人暮らしの高齢者を狙って医療費や年金の還付を呼びかける手口を紹介しましたが、還付金詐欺の手口は多岐にわたります。例えば
- 年金機構や市役所ではなく民間企業(例えば携帯電話やクレジットカードの会社)が料金の過払い金を返還したいと申し出る
- 年末調整や確定申告の時期に合わせることで高齢者を信用させる
- 銀行が携帯電話をもった高齢者への声掛けを強化したことでスーパーのATMに誘導するケースが増えた
- 今日中に手続きを済ませないと還付金を受け取れないと言って焦らせる
- 振り込みの反映には通常より時間がかかると言って詐欺の発覚を遅らせる
- ボタンの操作を巧みに誘導し、振り込ませていることに気づかせない
特にボタンの操作の誘導は詐欺師にとって一番大事になるところなので様々なテクニックが使われています。高齢者が今何をやっているか自覚させないために「右の下から3番目のボタンを押してください」と文字ではなく位置でボタンを指定したり、残高の数字を右から読み上げさせることで残高を教えている自覚を失わせたり、ATMを英語表示にさせる手口があります。
また、最近では「機械のエラーで現在振り込むことができない。しかしこのままでは還付の期限が過ぎてしまうので一旦保障金を預けてくれれば期限を延長できる。後日還付金を上乗せして返還する」と称して、お金を振り込ませる詐欺の手口もあります。
2 今まで振り込め詐欺が少なかった地域も狙われている
振り込め詐欺が生まれてその被害が有名になったころの古いデータでは、1000人あたりの振り込め詐欺被害数は東京や神奈川、埼玉などの関東圏が多く、大阪府は45位でした。
その理由の説明として、「振り込め詐欺や還付金詐欺は自分が親戚だと嘘をつくので関西弁が必要な大阪の人は狙われにくい。逆に東京なら方言が必要ないから騙しやすい」というものや「関西人はお金にシビアで警戒心が強いから電話がかかってきても撃退できる」というものがありました。振り込め詐欺被害が最も少ないのが鹿児島県であることから考えると方言による説明も納得できます。
しかし2016年のデータではなんと大阪府の詐欺被害額が東京を抜いたのです。その背景には詐欺グループが関西方面に目をつけ関西弁をしゃべれる人を多く受け入れたことが考えられます。それによって「関西人はお金にシビアで警戒心が強い」という説が否定されました。今まで詐欺の被害が少なかったことから関西方面で十分なされていなかったのが一因です。
関西弁を話すことで大阪府の自治体を装うことが容易になりました。これからは関西弁だけでなく鹿児島弁を話す人が加害者になることも考えられます。たとえ被害が少ない地域に住んでいても油断は禁物です。
3 ネット上で還付金詐欺の警戒を呼びかけてもネットを使わない高齢者に届いていない
高齢者の中には機械に慣れ、日常的にネットやスマートフォンを使いこなし、情報を集めている人も多くいます。パソコンが使える人であればATMの操作なんて朝飯前ですから心配はありません。本当に警戒が必要な人はネットを使わず、機械に疎い一人暮らしの高齢者なのです。このサイトを見ている人はほとんど問題ないでしょう。
このサイトを見ている人は親戚に機械に疎い高齢者はいませんか。しっかりと連絡をとるとともに、最新の詐欺の手口をこのサイトやニュースから収集し、教えることが被害を食い止めることにつながります。
還付金詐欺の対策法
ここからは具体的な対策法について見ていきましょう。
1 ATMの振込み可能金額を少なめに設定しておく
もしも自分の親が機械に疎いようでしたら振り込むリスクを減らすため振込み可能金額を少なめに設定しておくことをオススメします。親と一緒に銀行に行けばすぐに設定を変えられます。
2 ATMの使い方に慣れさせておく
パソコンやスマホに抵抗がある高齢者は多くいますが最低限ATMの使い方くらいは押さえておきたいものです。一緒に銀行に行って簡単な使い方を教えておけば、電話で言われるがままに何もわからずボタンを押すこともなくなるでしょう。使い方がどうせわからないだろうし、誤操作があったら危険だと操作方法を教えないのはかえって危険です。また、絶対に表示を英語にしないこと、コンビニやスーパーのATMを使わないこと、還付金などのお金がATMで貰えないことも合わせて伝えましょう。
3 日頃から連絡をとり、詐欺に関する情報を共有しておく
これが一番大切です。還付金詐欺はニュースでもよく耳にしますし、10年も前からある詐欺なので情報をしっかり集めていれば防げたはずです。関連した詐欺は日々生まれているので対策は急務です。私はGoogleアラートで詐欺に関するニュースが全て自分のメールに1日一回送られてくるように設定しています。この方法ならニュースをみたりネットで検索する暇がなくても十分可能なはずです。
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