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寸借詐欺とは
寸借詐欺とは人の善意につけこんで少額のお金を借りるふりをして、そのまま返さずだまし取るという一種の詐欺です。私も何度か寸借詐欺師のような人に声をかけられたことがあります。一番典型的なパターンは、駅の近くで中年の身なりの整っていない人に声をかけられて、
財布を落として家まで帰れないから交通費を貸してほしいと持ち掛けるパターンです。相手が嘘を言っていることは目を見ればわかるので、お金は貸さず、しかるべき対処法をとりました。
寸借詐欺の被害者もほとんどは少額の被害のため被害届を出さず、犯人はごく一部、大規模に行った人意外は逮捕されないのが現実です。ひとつひとつの被害額は少額ですが、チリも積もれば山となります。実際に逮捕された寸借詐欺師の中には合計数千万円もだまし取った人もいて、見逃せない問題になっています。外国に旅行に行った日本人が被害にあうケースも多々あります。困っている人がいると助けたくなる日本人だからこそ、正しい対処法を身に着けておくべきです。
巧妙化する寸借詐欺の手口
先ほど述べたのは昔からある典型的なパターンですが、これ以外にも様々な寸借詐欺のパターンがあります。
- 知り合いが急に入院をして、病院に行きたいから交通費を貸してほしい
- 終電もなくなってとまるところもないからビジネスホテルにとまるお金を貸してほしい
- 財布を落として子供を病院に連れて行けないのでお金を貸してほしい(ぼろぼろの服を着た子供を連れて)
- 熊本地震で家族の安否確認に行きたいが交通費がないので貸してほしい
- 家に電話したいが財布を落として電話できないためお金を貸してほしい
- 単純にショッピングをしたいがお金がないので貸してほしい
寸借詐欺という用語が世間に広まるにつれて手口が巧妙化してきました。子供を利用したり、時事的な話題にかけて見知らぬ他人を騙そうとする卑劣な手口も存在します。声をかけられる場所は鉄道の駅やバス停の近くというのが最も多いパターンです。
実際に被害にあった大学生の体験談
今回の被害者Aは大学進学を機に山口県から東京に引っ越して一人暮らしを始めました。ずっと山口県で暮らしていたAは都会の習慣をあまり知らず、物価の高さや人の多さにただただ驚くばかりの毎日。そんなあわただしい4月に、上京してきたAはつけこまれたのです。
4月の中旬、家で家事をこなしていると、インターホンが鳴りました。立っていたのは身なりの整った若い男性で、Aの上の部屋に引っ越してきたとのことでした。急いでいたようなので話を聞いてみると、盗まれたバイクをすぐに警察に取りにいかないといけないが交通費がないので貸してほしいとのことでした。男は自分から身分証のコピーや名刺、借用書を出し、帰宅したらすぐに返すといいました。
男性はAにとって初めて挨拶をしたご近所さんなので、あまり気まずくなってはまずいと思い、お金を貸してしまいました。
しかし、夜になり帰宅してもおかしくない時間になっても男性はお金を返しに来ません。気になって男性がいるはずの部屋に行くとなんと全く違う人が住んでいました。そこで初めてAは騙されたと気付いたのです。その加害者は別の場所で同じ手口をはたらいた際にその場で通報され、逮捕されました。もしもその場で通報されていなかったら犯人を捕まえるのはほぼ不可能でしょう。
寸借詐欺は何も駅やバス停だけでおこるものではありません。都会の習慣に慣れていないと思われる一人暮らしを始めたばかりの大学生が標的になりやすい傾向にあります。
また、善意につけこむことより、人を信用させることを重視する加害者の場合、身なりをしっかりして騙しにくるケースも多いようです。
寸借詐欺師の特徴とは
寸借詐欺師は常に金を欲しがります。電車代がないので貸してほしいという人がいたから親切に目的地までの切符を買って渡そうとしても大抵は嫌な顔をするでしょう。喉が渇いたというのでいらなくなったお茶をあげようとしても、受け取ろうとしません。
最近の多くの寸借詐欺師は自分からお金を貸してほしいとは言いません。ときどき本当に困っているような老人が何も考えずにお金を貸せと言ってくるケースはありますが、それが詐欺師かはわかりません。大規模に詐欺を働いている人は自分がいかに困っているかという点を強調し、お金がとれないとわかった時点で次に行きます。
逆にその分、とれる人からなるべく多くとろうとするのも寸借詐欺師の特徴です。寸借詐欺師にいくら欲しいのかと言われても「500円か1000円」などとはっきり言わず曖昧に答えることが多いです。本当に困っていたら目標とする額が定まっているのでこんな言い方はしませんよね。詐欺師に一度お金を出してしまうと、もっと欲しいとわがままをこねるような人も多々いますから注意しましょう。
寸借詐欺の対処法
寸借詐欺師にお金を渡さないのが一番簡単な対処法
見知らぬ人にお金を貸してほしいと言われても貸さなければいいだけです。お金ではなく、例えば電車の切符など、現物で支給するようにしましょう。JRであれば一度改札を通った切符は払い戻しができなくなります。
交番を案内しよう
かといって困っている人を放っておけないという人もいるでしょう。その場合は交番に連れて行きましょう。警察や交番でお金を借りることができる「公衆接遇弁償費」とう制度があります。正当な理由があれば1000円を上限にお金を借りることができます。
上記の四つに当てはまる場合はお金を借りることができます。
顔写真を要求しよう
見知らぬ人にもしどうしてもお金を貸す場合は、確実に返済してもらうために、顔の写真を撮らせてもらうよう要求しましょう。金融機関でお金を借りるときも顔写真つきの身分証明書が必要になるのと同じ理論です。寸借詐欺を働く人は、詐欺師として自分の顔がネットに晒されることで、見知らぬ人に声をかけることが難しくなるので、写真を撮られることを拒否するでしょう。身分証だと偽造の可能性がありますが、自分の顔だけは変えることは不可能です。